vol.04
みなかみを知る 5つのカルチャー
What's MINAKAMI?
『NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI』が計画中のみなかみ町では、豊かな自然を背景に様々なカルチャーが根付き育ってきた。登山、温泉、ウォーターアクティビティ、クラフトビール…。“水の街”ならではの魅力に溢れたみなかみの過ごし方を紹介します。
CONTENTS
1.谷川岳登山 −標高1,977 m。四季の移ろいを楽しめる土地のシンボル。
群馬と新潟の県境にある三国山脈の一つであり、日本百名山にも選ばれている谷川岳。 三国山脈の他の山々に比べてアクセスしやすいため、多くの登山客が訪れる。この山の特徴を一言でいうならば、『間口の広い山』だ。老若男女問わず楽しめる「谷川岳ロープウェイ」を使った初心者向けのコースもあれば、中〜上級者は0号目から様々なコースを使って頂上を目指すことができる。また冬季には、整地されていない雪山を下るバックカントリースキーのプレーヤーが日本中から集まってくる。 どうして谷川岳は、ここまで人を熱中させるのか。谷川岳ロープウェイ by 星野リゾートのスタッフ・大塚弥生さんは、「地形が特徴的なんです」と話す。 「空に向かって岩壁がそびえ立つ急峻な山なので、他にはあまり無い刺激的な環境になっています。また、日本海側と太平洋側の空気がぶつかり、日本屈指の良質なパウダースノーが大量に降り注ぐのも谷川岳ならでは。GW頃から6月上旬は、新緑と残雪のコントラストで谷川岳の急峻な地形を一番きれいに眺めることができる季節なのでおすすめです」(大塚さん) ロープウェイと天神峠リフトを乗り継ぐと標高1500m地点までわずか30分ほど、そこから山頂までは2時間半のトレッキングで着くことができる。もちろん山頂を目指さず、天神峠からでも都市部では味わえない非日常的な絶景を満喫可能だ。
谷川岳ロープウェイ by 星野リゾート
〒379-1728 群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽吹山国有林 HP:https://www.tanigawadake-rw.com/ ロープウェイ・リフトセット券(往復) 大人¥3,500 子ども¥2,000 駐車場 ¥500谷川岳を望みながらゴルフも。
谷川岳を楽しむ方法は登山だけではない。 「水上高原ゴルフコース」では、谷川岳を含む三国山脈を一望しながらラウンドが楽しめる。36ホール2つのコースは、緩やかな曲線美と大自然の中にゆったりと配置されたレイアウトが特徴。これは、4色のカラフルな傘のマークが特徴の自身のブランドも人気なアーノルド・パーマー氏の設計によるもの。 「自然のアンジュレーションを生かしたフォレストコースと、戦略性が高くダイナミックなショットが楽しめるスカイコースは、全コースカート乗り入れ可能です。また、オールベント芝で気持ちよくプレーが楽しめます」と副支配人の廣瀬厚彦さん。 ここは標高が約1,000mで、みなかみ町の中心地区よりも1,2℃、さらに東京よりも平均マイナス6℃涼しく夏でもプレーしやすい気候になっているのも嬉しいポイント。秋には紅葉の中で絶景ゴルフが楽しめるとか。「水上高原ホテル200」を併設しており、ゴルフ利用の人も日帰り温泉「美肌の湯」を堪能することができる。また広大な200万坪という敷地の中では、テニスやツリートレッキング、ジップライン、冬はスキーなど様々なアクティビティを楽しむことも可能だ。
水上高原ゴルフコース
〒379-1721 群馬県利根郡みなかみ町藤原6152-1 HP:https://www.minakami-golf.jp/ *冬季はゴルフ場がスキー場になる。2.温泉 −血圧低下、鎮静作用がある硫酸塩温泉。
県内の草津や伊香保と並び、温泉街として広く知られているみなかみ。 500年ほど前の永禄の時代に発見されたと言い伝えられており、若山牧水や太宰治、北原白秋、与謝野晶子など著名な文化人がみなかみ町の温泉を訪れていたそうだ。現在も利根川の本流と支流に沿って多くの温泉が集まっているが、町を歩いていてもいわゆる温泉街のような硫黄の匂いはしてこない。 「みなかみの温泉は源泉によって違いはありますが、ほぼ無臭で、無色透明なんです」と話すのは法師温泉長寿館の岡村国男さん。 「みなかみは武尊山や草津白根山、浅間山、小野子山という火山に囲まれた立地なので、地中に染み込んだ水が温められて温泉になって地表に多く出てきています」 雪解け水や山に降った雨水がマグマから出るガスや地中にある岩石の成分を含み、温泉として地中に現れる。みなかみの綺麗な水と雄大な自然がその背景にあるのだ。 ここ、法師温泉の日帰り温泉は「法師乃湯」と「長寿乃湯」の2つ。「法師乃湯」は明治28年に建設された趣ある造りの浴場で入浴ができる。一番の特徴は“自然湧出”。足元の石の間からポコポコと源泉が湧き出ている。 「法師乃湯という名前は、弘法大師が発見したという言い伝えから名付けられました。ここの源泉の成分は、カルシウム・ナトリウム硫酸塩温泉です。切り傷や冷え性、皮膚乾燥症などに効果があります。泉質はほんの少しトロッとしていて肌馴染みもいいので、化粧水みたいだとよく言われます」(岡村さん) みなかみの温泉は四季の移ろいを強く感じることができるのも魅力の一つ。雪景色を見ながら露天風呂に入るなど、季節によってガラッと変わる表情も楽しみたい。
法師温泉長寿館
〒379-1401 群馬県利根郡みなかみ町永井650 HP:http://www.hoshi-onsen.com/ 日帰り温泉 大人¥1,500 子ども¥500 *法師乃湯は混浴、長寿乃湯は女性専用。3.SUP −大自然と一体になれる。自分で操る水上のアクティビティ。
日本一の流域面積を誇る利根川の上流域であるみなかみでは、ウォーターアクティビティが根強い人気を誇っているが、ラフティングやキャニオニング、カヌーなどの選択肢がある中で、特に盛り上がりを見せているのが「SUP(サップ)」。SUPとはスタンドアップパドルボードの略称で、サーフボードより一回り大きい浮力があるボードに乗り、パドルを漕いで自分の好きな方向へ進んでいくハワイ発祥のアクティビティだ。そもそもみなかみに、このようなアクティビティが浸透したきっかけは30年ほど前に遡る。 「みなかみに素晴らしい自然があることに気づいたラフティング事業者がみなかみへ参入してきたことがきっかけです。その後、キャニオニング、ハイドロスピード、SUPとさまざまなアクテビティへと広がりました。みなかみ町と新潟県南魚沼市・魚沼市の境目にある『大水上山』から利根川の1滴目が流れていて、とても水が綺麗なんです」と教えてくれたのはみなかみでSUPを中心としたツアーを主宰するR-LABOの代表・平間和徳さんだ。 「SUPとラフティングとの違いは”自分で操作する楽しさ”です。また、『汎用性の高さ』も魅力の1つ。SUPで遊ぶフィールドを選べば小さな子供から、女性、高齢者まで楽しむことが可能です。乗り方を変えればレイクSUPのようなレジャーから、川を下るようなスポーツまで様々な遊び方もできます」 今回撮影をした赤谷湖では、どんな楽しみ方ができるのだろうか。 「春は新緑、秋は紅葉がおすすめです。特に渓谷の中の景色は絶景で、新緑や紅葉の下で仰向けになりゆっくり過ごすSUPも特別な時間です。赤谷湖にはそれぞれ異なる特徴を持つ2つのコースがあります。西川方面は人があまりこないところなので、プライベートな空間をゆっくりとこぎ進められる。鳥のさえずりを聞きながらのツーリングは最高です。北に向かう赤谷川方面には駒形峡という渓谷が広がっています。広い本湖から岩壁に囲まれた渓谷に入る瞬間は冒険をしているような気持ちになれますね」 救命胴衣をつけるから、水に落ちるのを心配せずに楽しめる。見た目は簡単そうだが、実際に乗ってみるとバランスを取るために普段使わない筋肉を使うので、トレーニングにもなる。壮大な自然の中を自分が操るボードで進んでいく体験は、みなかみでSUPを楽しむ醍醐味だ。
R-LABO
〒379-1303 群馬県利根郡みなかみ町上牧2331 HP:https://rlabo-outdoor.com/ 赤谷湖SUP半日ツアー 大人¥7,000 子ども¥5,0004.クラフトビール −みなかみで作られる、みずみずしい一杯。
近年、国内各所で盛り上がりを見せているクラフトビールの世界。 みなかみでも個性的な店が生まれている。駅前の道を進んでいくと、国籍・老若男女問わず盛り上がっているお店が見えてくる。竹内康晴さん、美和さん夫妻が営む『OCTONE Brewing(オクトワンブルーイング)』だ。康晴さんはみなかみで生まれ育ち、都内や神奈川県茅ヶ崎で会社員として仕事をした後、地元に戻りこのお店をオープンさせた。 どうして、みなかみにお店を構えたのだろうか。 「元々クラフトビールが大好きで、お店を開くなら地元が面白いかなって思ったんです。ビールって原材料のうち、90%以上は水なんですよ。クラフトビールをつくる工程で、砕いた麦芽とお湯を混ぜる『糖化』という作業があって、そこではみなかみの地下水を大量に使います。その後、煮沸をしたり、ホップや酵母を投入していくのですが、ビールを大きく構成しているのはやっぱり水。みなかみの水は上流域ということもあって、カルキ処理が最小限でいい。だから水道水が、パッケージされた市販の水と同じぐらい美味しいんです。あと、お店の水は軟水で、ミネラル分を添加することで伝統的にビールが醸造されてきたヨーロッパの水に近づけることができるのもポイントです。ビール作りではミネラルが大事な要素なので」 お店に並んでいるタップは8種類、全てお店のオリジナルだ。Pale AleやIPA、Porterなど幅広いジャンルのタップが揃っている。 「酵母は自分で培養したり、最近はホップも自分で作り始めました。そこまで追及できるっていうのも、みなかみならではだと思っています」 店内では、瓶やビール専用のタンブラー「グラウラー」でも販売をしているので、自分の好きなところで心地よい一杯を楽しむことができるのも嬉しい。
OCTONE Brewing
〒379-1617 群馬県利根郡みなかみ町湯原702-2 Instagram:https://www.instagram.com/octonebrewing_minakami/ タップはPint(¥1,150~)、Glass(¥800~)、Cup(¥550~)から選べる。5.フライフィッシング −手付かずの自然の中で繰り広げられる川魚との真剣勝負。
これまで取り上げたカルチャーとは毛色が異なるが、みなかみを知る上で外せないのがコアなフィールドスポーツだ。 みなかみは、フライフィッシングやバックカントリースキーなど危険と隣り合わせで自然を相手に挑戦する層にも高い支持を集めている。フライフィッシングとは餌に見立てた毛針で水面を叩きイワナなど川魚を釣り上げるもの。イギリスの貴族が起源であり、今でも国内外で格調高い紳士のスポーツと言われている。 そんなみなかみのB面とも言える魅力に惚れ込み、東京から移住したのが福山正和さんだ。元プロスノーボーダーであり、モデルとしても活動、スノーピークなど多くのブランドにクリエイティブディレクターとして参画している。福山さんが移住をしたのは10年前。谷川岳の雪を目当てに来たが、移住してしばらくして渓流フィッシングに魅せられた。 「ここは、四季の移ろいがすごくダイレクトに感じられる場所なんです。川の水量も季節によって全然違うし、山に入るたびに違う表情を見せてくれる。山奥に入ってもこんなに水量が多い川ってなかなかないですから。町に4つも湖があるのも珍しい。その中でも一番奥の奥利根湖の上流域はオオイワナ釣りというジャンルにおいては日本一面白いと僕は思います。それぐらいのポテンシャルがみなかみにはあるんです」 今回のフライフィッシングでは、山に入り川沿いの道なき道を川上に向かって進みながらポイントを見つけトライを繰り返した。 「片道3時間以上歩くのは当たり前。だけど奥に行けば行くほど人の気配がないから、大物が待ってるんです。ここで釣れるのは主にイワナですが、湖に降りてから帰ってくるランドロックサクラマスもいます。なぜ川を登って帰ってくるのか、その生態は謎に包まれているのも面白いですよね」 もちろん、ある程度の経験を積んでからみなかみの川へ入ることをおすすめするが、自然と正面から向き合い勝負できるこの環境をぜひ味わってほしい。
福山正和さん
Instagram:https://www.instagram.com/mofm_minakami_life/NOT A HOTEL MINAKAMI購入申込み
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