vol.02

野生に近い植栽で、 ”体験”を促す。

SOLSO・齊藤太一氏インタビュー

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『NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI』のランドスケープデザインを担当するのは、SOLSOの代表・齊藤太一。川崎にあるグリーンショップ『SOLSO FARM』や表参道の『SOLSO PARK』などを運営するほか、『UNIQLO TOKYO』や『reload 下北沢』など数多くの商業施設やオフィスの植物監修なども手がける造園家だ。 建築と植物の心地よい調和を生み出す彼が、『NOT A HOTEL』においてSUPPOSE DESIGN OFFICEとタッグを組むのは『NASU』に次いで2回目。前回とは気候も地形も全く異なる中で、どのようなランドスケープの構想を描いているのか。みなかみの土地で、齊藤が思い描く風景について話を聞いた。

『NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI』が計画中のみなかみ町は、2,000m級の山々に周りを囲まれ、また日本一の流域面積を誇る利根川源流の町だ。澄んだ空気や鳥の囀り、風に吹かれる木々の音…。みなかみには、そこでしか味わえない自然豊かでゆったりとした時間が流れ、動植物がのびのびと育っているように感じられる。

CONTENTS

  1. 1自然の栄養がここに集まるようになっている

  2. 2採取という体験を大事にしたい

自然の栄養がここに集まるようになっている

みなかみを訪れた齊藤は、特徴的な地形について興味深い考察をしてくれた。 「ここ(みなかみ)は、山に囲まれたすり鉢のような立地なので、いい栄養素や水などが集まってくる場になっているんです」 冬は山に雪が降り積もり、春から夏にかけては雪解け水が山の中を駆け巡り、森の栄養素をたっぷりと含んだ水が川へと流れこむ。つまり、天然の肥料が地域全体へ行き渡るサイクルが形成されているのだ。何百年もの月日をかけて、みなかみの美しく雄大な自然は紡がれてきた。

みなかみの山中を流れる穏やかな川は、山の中を巡った水が集まり形成される。 日本一の流域面積を誇る利根川の源流。

『TOJI』の計画地。山の頂上で、あたりを360°見渡せるロケーション。


採取という体験を大事にしたい

「一般的なランドスケープデザインでは、植物をあらかた種類ごとにグルーピングするのですが、今回は野生らしさを大切にしたいと思ったんです。どこに何があるかは外に出て近くで見てようやく分かる、みたいな。例えば『なっていたベリーを摘んで食べて見たらとても美味しいかった』という体験もできる環境になるといいですよね。”採取”して、身をもって発見をする。それをキーワードにランドスケープを作り上げていこうと考えています」 人間の暮らしの原点に立ち返るとも言えるこのコンセプトには、現代の私たちに必要な刺激に満ち溢れている。自分の目や足で見つけたモノとの出合いや思い出は、頭だけではなく体に刻まれていくからだ。あたり一面を緑に囲まれる場所で、土地そのものの景観をよりワクワクするものにアップデートしながら、”体験”というエッセンスも加える。ただ植栽をして完成ではなく、経年の変化を楽しめるランドスケープ作りをテーマに掲げるSOLSOだからこそできる挑戦だろう。 「室内だけではなく、外でどんな体験ができるかというところをチャレンジしたい」 齊藤のその言葉には、SUPPOSE DESIGN OFFICEとともに『TOJI』の体験をデザインするという、強い意気込みが伝わってくる。

齊藤のオフィス『SOLSO FARM』にて。

今回のランドスケープデザインは”採取”がキーワード。

2023.08.01

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