Jean Nouvel
Design for NOT A HOTEL
“最も洗練されたものは、自然の中にある。
風景や小径、起伏、そしてふと現れる眺め。それ以外は、何もない。
このプロジェクトは、単に住まう場所をつくることではない。
一本の木、ひとひらの草の葉、ひとつの石と恋に落ちることなのだ。”
まるで現代美術の収集家のように、石や庭、むき出しの大地の中にこそ、この島を体験する理想的な方法を見出すことができる。それは自然であり、場所であり、芸術作品であり、雨であり、水の音だ。その根底にあるのは石。時間や雨風によって形作られ、歳月の記憶をまとう永遠の存在。その周囲には岩や石壁が、まるで昔からここに存在していたかのように配置される。この島はまるで宝物のような場所だ。現れては消え、すべてが変化しうる場所でありながら、それでも常に、静かに想いに耽る喜びを与えてくれる。
ここでは時間は不変で、静謐は絶対的、瞑想的でなければならない。ガラスのように最もシンプルな素材が選ばれたのは、雨への感覚を研ぎ澄ますため。水の透明性や、その向こうに広がる空を映し出し、そこから湧き上がる根源的で自然な感情を呼び起こすためだ。
Designed by
1970年に独立し、クロード・パランの助手やポール・ヴィリリオの思想から強い影響を受けた彼は、フランス建築家連合の創設に関わり、建築家の閉鎖的な体制に挑む「Mars 1976」運動を共同で立ち上げました。その後も常に独創的で革新的なアプローチを貫き、文脈に根ざした建築を通じて世界の都市に深い痕跡を刻んできました。パリのカルティエ現代美術財団やルーヴル・アブダビ、ニューヨークの53W53、上海の浦東美術館、そしてパリのデュオ・タワーなど、国際的に評価される代表作はいずれも都市の風景を刷新し、その場所ならではの体験を創り出しています。こうした活動は、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞やRIBAロイヤル・ゴールド・メダル、高松宮殿下記念世界文化賞、ボッロミーニ賞、そして建築界最高の栄誉とされるプリツカー賞といった数々の受賞によって世界的に認められています。