NOT A HOTEL CAREERS MANAGEMENT

シンプルな料理こそ もっとも奥が深い

NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI シェフユーティン・ツォン

NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI シェフ

ユーティン・ツォン

中国・大連出身。日本在住11年。大学卒業後、英語教師を経て、30歳で料理の世界へ転身。料理学校で学び、銀座のラグジュアリーブランドが運営するレストランでキャリアを積む。都会の喧騒から離れ、自然との共存を求めて2025年7月にNOT A HOTELにジョイン。現在、NOT A HOTEL MINAKAMIの薪火レストラン「熺木」で料理人を務める。お客さまに地元の魅力を伝える「非凡な食体験」を追求し、将来は新拠点の料理長になることを目標としている。

中国・大連出身で、30歳まで英語教師としてキャリアを歩んでいた ユーティン・ツォン(叢育婷)。しかし、長年抱き続けてきた“料理の道への想い”を諦めきれず、料理学校で学び直すことを決意。卒業後はラグジュアリーブランドが運営するレストランで経験を積み、確かな技術を身につけていきました。

そんな彼女が次の舞台に選んだのは、NOT A HOTEL MINAKAMI。食材と真っ直ぐ向き合うため、そして創作のインスピレーションを求め、清らかな水と雄大な自然が広がるみなかみへと拠点を移しました。

キッチンとホールが分断された環境とは異なり、お客さまの反応を目の前で感じられる現場で、「野菜のパーソナリティ」と向き合い、シンプルだからこそ奥深い料理を追い求める——。その挑戦と、料理人としての“ありたい姿”に迫ります。

料理人という道を諦め切れなかった

━━━まずは簡単な自己紹介をお願いします。

ユーティン・ツォンと申します。中国・大連で生まれ、2014年に来日し今年で11年になります。最初は英語教師として働いていましたが、料理が好きという気持ちを諦めきれず、30歳で料理学校に入りました。卒業後は銀座のレストランでイタリアンを学び、2023年7月にNOT A HOTELへ入社。現在はNOT A HOTEL MINAKAMIの薪火レストラン「熺木」で料理人として働いています。

━━━キャリアを積んだ後に、料理の道を目指したのはなぜですか?

ずっと“料理を仕事にしたい”という思いを胸の奥で抱き続けていました。30歳の時に、「本当にやりたいことは何だろう?」と自分に問いかけて、シェフになりたいと決意しました。料理学校では周りが10代ばかりでしたが、それでもこの道を本気でやり遂げたいと思い、覚悟を決めて挑戦しました。

━━━すごい情熱ですね。それからレストラン勤務を経て、NOT A HOTELへ入社するわけですね。

NOT A HOTELを知ったのは、SNS広告を見たのがきっかけです。自然のなかに佇む息をのむような建築デザインの数々を見て、「ここで働けたらどんなに素敵だろう」と思ったんです。何より大きな理由は、私自身が自然のなかに身を置くことを心から愛しているからです。都会での生活に少し疲れていて、料理人として食材や創作のインスピレーションを求めて、田園や山に実際に足を運びたいと強く願っていたタイミングでした。

━━━実際にみなかみに来てみて、いかがでしたか?

ここは都会とは環境が違いますが、私はこの静かで豊かな場所がとても気に入っています。毎日窓を開ければ澄んだ空気が広がり、山には季節ごとの野生植物がたくさん見つかります。最近は山椒や黒文字、栗を摘んだり、入口にあるザクロがそろそろ熟してきたので、「この実でどんなデザートをつくろうかな」と考えているところです。こうした自然と隣り合う暮らしが、心も身体も穏やかに、そしていきいきとさせてくれます。

シンプルな料理こそ一番難しい

━━━現在、薪火レストラン「熺木」ではどのようなことに取り組んでいますか?

地元の有機野菜や川魚、熟成牛肉を中心に、群馬・みなかみの山の魅力をそのまま感じてもらえる料理を目指しています。今は味付けをできるだけシンプルにし、素材本来の味がまっすぐ伝わる一皿を追求しています。

料理人としてその“シンプルな料理”に物足りなさを感じるかと言われれば、むしろ逆です。実は、シンプルな料理こそが一番難しいと思っています。複雑な料理は技術でいくらでも誤魔化せるかもしれませんが、シンプルな料理は“裏にどれだけ力を注いでいるか”が見た目以上にはっきり問われるんです。

━━━その「裏」の力とは?

一番大切なのは、まず食材です。どのファーマー(生産者)から仕入れるのかを自分の目で選び抜くこと。「この人のトマトだから美味しい」「この農家のきゅうりだから味が立つ」というように、すべてに理由を持って選ぶ必要があります。

そして、野菜には人と同じようにパーソナリティ(個性)があります。この野菜にはどんなソースが合うのか、どう扱うのが一番いいのかを丁寧に見極めなければなりません。例えば、生野菜や軽く蒸しただけの料理でも、10種類の野菜には10種類の異なるソースを用意しています。

これまで学んできた複雑な技術を、今はすべて“シンプル”という形にまとめて表現している——だからこそ、NOT A HOTELでシェフを務めることは、私にとって大きな挑戦なんです。

━━━土地を深く理解することも、良い料理を届けるうえでイコールなんですね。

その通りです。野菜のパーソナリティを理解するには、まず“みなかみという土地”を知ること、そして“その土地で育てる農家さん”を知ることが欠かせません。

私は和食の経験がありませんでしたが、ここでは和食の要素も学びながら、これまで培ってきたイタリアンの技術と合わせて取り入れています。すべては、この土地の食材を一番おいしいかたちでお客さまに届けるためです。

「温かさ」のある食体験

━━━NOT A HOTELに入社して、お客さまへのサービスへの向き合い方はどのように変わりましたか?

東京のレストランで働いていた頃は、厨房とホールが完全に分かれていたため、お客さまの反応をその場で感じることがほとんどありませんでした。

今は薪火台の前に立ち、食材を焼き、そのまま提供するので、お客さまの表情や声をすぐに感じ取ることができる。それが料理人として何よりの喜びです。

━━━お客さまの反応を直に感じられることで、どんな学びがありましたか?

料理をつくるだけではなく、お客さまの様子を観察し、会話で緊張をほぐし、適切なワインを合わせるといった“サービス”の大切さを実感しました。

先日、海外からお越しになったご夫婦が少し緊張されていたので、私のほうからお声がけしてみると、会話が自然と弾み、笑顔で帰っていかれました。あの瞬間が、料理人として一番幸せだと感じます。

━━━そんなユーティンさんの考える、NOT A HOTELらしいサービスとは?

お客さまに対して、みんなが心からこだわりを持っているところだと思います。 嗜好や過去の滞在のヒストリーまで細かく覚えていて、温度感のある親切なサービスを自然にできる。 

お客さまが帰られた瞬間に「また来たい」と思ってもらえるような、人に寄り添う温かさが魅力です。 先日は5歳の男の子から「NOT A HOTELが大好き。また来たい!」と手書きのお手紙をいただき、本当に励みになりました。 美味しいだけではなく、“また戻りたい場所”になること。それが私たちの目指すサービスの姿です。

━━━最後に、NOT A HOTELで果たしたい目標を教えてください。

NOT A HOTELが新しい拠点をつくるときの「立ち上げ料理長」になることです。そのために、まずはここで一人前のシェフとしての実力をしっかり磨きたいと思っています。 

瀬戸内や三浦、ルスツ……どの土地に行くとしても、ゼロから最高の食体験を生み出し続けること。その挑戦の連続こそが、私の尽きないモチベーションです。

キャリア

2014年

中国から来日。英語教師としてキャリアを積む。

2021年1月

​​調理師専門学校に入学し、料理の道を志す。

2022年4月

銀座のラグジュアリーブランドが運営するレストランで料理人として勤務。

2025年7月

NOT A HOTEL に入社。NOT A HOTEL MINAKAMIの薪火レストラン「熺木」の料理人に就任。

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