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Project: NOT A HOTEL AOSHIMA
2022年にNOT A HOTEL初の拠点としてオープンした宮崎県の「NOT A HOTEL AOSHIMA」。かつて人気観光地として栄えたものの賑わいを失っていた青島の地に、新たな人々の流れを呼び込むきっかけとなったプロジェクトの現在地と、さらなる展開とは。
全国から多くの人々が参詣に訪れる青島神社をはじめ、景勝地として知られる「鬼の洗濯板」、昭和になると遊園地や海水浴場、ホテルや植物園なども整備され、青島地区は宮崎を代表する観光地として発展してきた。しかし、観光客の減少に伴って、平成2年にはエリア最大規模の宿泊施設であった「橘ホテル」が閉業。その廃墟は15年にわたって放置され、持ち上がった再開発計画も頓挫。跡地に新しい建物が建つことはなく、青島海岸沿いにはどこか寂しい景観が広がっていた。 そんな青島地区の風向きが変わったのは2016年、宮崎市が旧橘ホテル跡地の活用を目指して民間事業者を公募したことがきっかけだった。その後、官民一体となった再開発プロジェクトがスタート。レストランやBBQエリアなどを併設した「AOSHIMA BEACH VILLAGE」、そして2022年の「NOT A HOTEL AOSHIMA」オープンへとつながっていくことになる。
こうして、青島海岸沿いの約5,500坪にも及ぶ広大なエリアは、「AOSHIMA BEACH VILLAGE」と「NOT A HOTEL」の誕生を経て、南国らしい緑豊かなビーチタウンとして新たなスタートを切った。閑散とした光景だった海岸沿いはクリーンに整備され、現在は観光客やサーファー、散歩を楽しむ周辺住民などで賑わう。 周辺でも再開発の勢いは止まらず、活気を取り戻しつつある青島。宮崎県が実施した地価調査によれば、青島地区の地価上昇率は2023年から2年連続で住宅地・商業地ともに県内1位を記録。観光客や移住者など、青島を訪れたい、青島で暮らしたいという人は着実に増えつつある。
2024年には「NOT A HOTEL AOSHIMA 2.0」と題したエリア拡張プランを発表。さらに魅力的なビーチタウンとするべく、新たに2タイプのヴィラの追加建設とパブリックエリアの拡大が計画されている。エリア一体のデザインを監修する<GENERAL DESIGN>大堀伸氏が「パブリックエリアが拡張することで、NOT A HOTELに宿泊する人と、レストランやBBQに訪れる人たち、ビーチに遊びに来る人たちが適度に混じり合い、新しいカルチャーが生まれる場所になるといい」と語るように、海風を感じる芝生エリアや、カルチャーを育むバスケットボールコートやスケートボードパークなど、新たな価値の提供を目指す。 一度は廃墟が放置されながらも、さまざまな人々の熱意で賑わいを取り戻してきた青島。2022年から宮崎市長を務めてきた清山知憲氏は、「AOSHIMA 2.0」として次なる展開を迎えた本プロジェクト、そして青島地区の未来に寄せる期待をこう表現する。 「本市では、青島をはじめとする観光・リゾート環境の充実と交流の促進を目指しており、国内外からの交流人口の拡大を目指した魅力ある観光・リゾート 環境の充実・強化に取り組んでいる。 このプロジェクトでは、民間ならではのスピード感、斬新なアイデアによって、この青島に新たな息吹が吹き込まれ、周辺への新規出店や地価の上昇など、目に見える変化が現れている。今後、青島の豊かな自然環境を活かしつつ、最先端のテクノロジーと融合したAOSHIMA2.0が完成すれば、本市の観光リゾート拠点として青島の魅力を内外に発信する旗振り役となり、国内外から多くの人々を惹きつけ、地域経済の更なる活性化に繋げてくれることを強く期待している。」
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PHOTO
NOT A HOTEL
Newcolor inc., Kozo Takayama