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vol.01
何気ない日常を彩る BASEと共にある暮らし
Spending time at BASE
北軽井沢の森の中に佇む「NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA BASE」は、自然と調和する三角屋根のシルエットが目を引く。ディレクションを手掛けたのは、ファッションブランド〈White Mountaineering〉のデザイナー、相澤陽介⽒だ。自身初となる建築プロダクトを手掛けるに当たって大切にしたのは、“自分らしいスタイルで滞在を楽しんでほしい”という思い。洋服のように、S、M、Lの3サイズを展開し、Lサイズにはナチュラルとブラックの2色を用意している。彼の個性と哲学が詰まった空間は、訪れる人々にどのような体験をもたらすのだろうか。北軽井沢の風景やプロダクトへの思いと共に、相澤氏が提案するBASEならではの過ごし方を紐解く。
CONTENTS
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北軽井沢の四季と静寂を満喫する
東京から車で約3時間、軽井沢駅からは30分ほど。都心とのほど良い距離感と豊かな自然で知られる北軽井沢の地は、四季折々の美しさに満ちている。春は新緑、夏は爽やかな風、秋は紅葉、冬は雪景色——。軽井沢駅から車でBASEへ向かうルートは浅間山の麓を通る道で、季節ごとに異なる風光明媚な景色の中をドライブできるのも訪れる楽しみのひとつだ。 BASEが位置するのは、森の中にある静かな別荘地。敷地周辺には、およそ240年前の浅間山大噴火の際に噴き出してできた溶岩石が点在しており、その荒々しくも美しい自然の姿に一目惚れしたと相澤氏は振り返る。
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BASEまで車を走らせる相澤陽介氏。
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浅間山の麓を通るドライブコースを抜けてBASEへ向かう。
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夏には青々とした緑が茂り、心地良い風が吹き抜ける。
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NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA敷地内に点在する溶岩石。
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BASE周辺には小川が流れ、水のせせらぎが聞こえてくる。
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美しい自然を感じながら迎える新しい1日
豊かな自然の中に建築を建てる上で課題になったのは、森と岩をどう切り拓いて、建築と自然を共存させるのか。相澤氏は、カナダやイタリアなど自身がこれまで訪れた海外のマウンテンリトリートを思い起こし、三角屋根の建築をつくることに。山小屋のように自然と馴染む形状でありながら、開放感のある室内空間をつくり出したいと考えたのだ。 総面積315.20㎡、最大8名の滞在が可能な「BASE L」の天井の高さは6.3mにおよぶ。その高さを活かして2階につくられたのが、目の前に大自然を望むガラス張りの寝室。朝は木々のざわめきや鳥のさえずりと共に目覚め、美しい自然を感じながら新たな1日をスタートできる。 リビングルームには相澤氏がセレクトしたレコードや、恵比寿のアートブックショップPOSTが選書した多様なアートブックも用意。家族や友人と談笑したり、薪ストーブのそばでまどろみながら音楽を聞いたり、一人で読書に耽ったりと、思いおもいに過ごせるゆったりとした時間が流れている。
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森に面して設けた家型の大きな開口部が、周囲の自然との一体感をつくり出す。
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天井高を活かしたリビングルームと、目の前に広がる森の景色を一望できる2階のベッドルーム。
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リビングルームには相澤氏がセレクトしたレコードが。
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秘密基地のような空間と相澤氏が話すゲストルームでは、三角屋根の真下で寝る感覚を味わえる。
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大自然を堪能する極上のひととき
「アクティビティとして山小屋を使うように滞在を楽しんでみてほしい」と相澤氏が話すように、半露天の岩風呂で身体をほぐしてサウナで身体を温め、冬は雪の上にダイブ、夏は近くの小川で足を冷やす。こうした野生味ある体験を叶えられるのもBASEの魅力だ。 バスタブに使用した本小松石は、相澤氏が神奈川・真鶴の採石場を訪れ、一つひとつ丹念に選び、それらを職人がくり抜いて製作したもの。自宅では味わえない極上のバスタイムが待っている。 屋外スペースも圧倒的な広さを確保しており、焚き火テラスとアウトドアリビング、外気浴テラスを完備。自らの手で薪をくべ、焚いた火を囲んで、思いを巡らせたり、仲間たちと語り合ったりする時間は、普段の生活では気づけない新たな視点をもたらしてくれるだろう。 遊び疲れた時は、クッションが敷き詰められたプレイルームでひと休みするのも良し。BASEは、全力で遊び、全力で休み、全力でリフレッシュできる場所なのだ。
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ガラス越しに四季折々の風景が飛び込んでくるオープンサウナ。
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クッション材が敷き詰められたプレイルームは子どもたちの遊び場としてもおすすめ。
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広々とした窓からの眺望は圧巻。窓辺に佇んで景色を眺め、自然の息吹を感じながらくつろぐことができる。
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屋外には、リビングルームからシームレスにつながる焚き火テラスを完備。
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建物横にアウトドアリビングと外気浴テラスが広がる。
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機能性とデザイン性を兼ね備えたオリジナルアイテム
過ごす場所、暮らす場所として、その快適性や心地良さは欠かすことができない。特に、肌に触れるものは重要だ。BASEでは、三角屋根をモチーフにしたヘリンボーン柄のオリジナル生地を使った椅子やスリッパ、ポンチョを相澤氏がデザインしている。 椅子は、アルネ・ヤコブセンの傑作、グランプリチェアを採用。デンマークにあるフリッツハンセン社の工場で、職人たちが一枚一枚手作業で生地を張っていった。テラスなどの室外で履くために用意されたスリッパは、ふかふかの履き心地で、まるで素足で過ごしているような気持ち良さだ。焚き火の際に着るポンチョも気分を高めるデザイン性と機能性を兼ね備えており、BASEでの滞在をより特別なものに彩ってくれる。
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テラスなどでの室外履きとしてデザインされたオリジナルスリッパ。三角屋根をモチーフにしたオリジナルテキスタイルはポンチョや椅子にも使用している。
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スリッパはブラック(26〜27.5㎝)とブラウン(24〜25.5㎝)の2色展開。
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薪ストーブ横には焚き火の際などに着られるポンチョが用意されている。
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フリッツハンセンとのコラボレーションチェア。
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周辺のアクティビティで心を満たす
周辺には、ゴルフやテニス、温泉、ツーリング、冬になればスキーやスノーボードなど、アウトドアやスポーツにまつわるものがほとんどそろっている。 年齢を重ねると、さまざまな理由でアクティビティとの距離ができてしまうこともあるが、相澤氏は自らの身体を動かすことで、新しいインプットを重ねていくことを大切にしているという。BASEの近くには魅力的なスノーリゾートや山々も多く、ちょっとトライしてみようという気軽な気持ちで遊びに行くこともできる。朝の空気や空の色も美しく、その中を自転車で走ることもおすすめだ。
STAFF
EDIT・TEXT
PHOTO
Saki Kaneko
Yuka Ito, Kanta Nakamura(NewColor inc)