EPISODE 04NFT、DAOーー
Web3事業を成功に導く
“超”当事者意識
Sales/Relations岡本 伊津美
NOT A HOTELで使える年1〜3泊の「宿泊権」を47年間にわたって保有できる 「NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT」や、NOT A HOTELの利用権をより多くの方へ提供する 「NOT A HOTEL DAO」 といった、いわゆる「Web3」ビジネスをリードしている岡本伊津美。
「MEMBERSHIP NFT」は販売初日に3億円を売り上げ、提供後約8ヶ月で7.4億円を超えるまでの結果を残した。顧客の知識量にもまだムラがある新興ビジネスながら、岡本はどのように前進させたのだろうか。常識を超えたWeb3プロジェクトの裏側を振り返っていく。
NFTオーナー300名以上のサポートをほぼ一人で担当
ーまずはNFTやDAOなど「Web3」ビジネスを手がける理由から伺えますか。
岡本:一言で表現すれば「すべての人にNOT A HOTELを」というミッションを実現するためです。NOT A HOTELは“富裕層向けのビジネス”と思われがちなのですが、実はそうではない。今まで一部の人しかできなかった体験を民主化するためのサービスです。NFTやDAOは、そのための手段という位置付けです。
ーNFTに関しては、暗号資産やブロックチェーン市場の低迷期だったにもかかわらず、爆発的な売れ行きをつくることができましたよね。要因はどこにありましたか。
岡本:一般的にデジタルアートやゲームなどのアイテムに限られることが多いNFTを、NOT A HOTELは「宿泊権」として販売しました。リアルアセットと紐づくアプローチは、当時としては新しく注目を浴びた要因だと思いますね。
ープロジェクトをスケールさせるうえで、もっとも困難だったことは?
岡本:300名以上のNFT購入者さまのサポートを、ほぼ僕一人きりで担ったことですかね。購入者さまのなかにはブロックチェーンに初めて触れる方も多く、丁寧にコミュニケーションする必要がありました。あとはスピード感。これまでにない挑戦をするなら、一番手でなければいけません。ブランドの構築や市場での認知に大きな差が出てしまうので、プロジェクトを高速で進めていきましたね。
メンバーは8名、開発は4ヶ月。当事者意識が生むスピード感
ーNOT A HOTELのスピード感についてもう少し詳しく伺いたいです。なぜ、それだけのスピードを維持できたと思いますか。
岡本:ワンチームで活動できたことが大きいと思います。NFTに関しては、2022年4月にプロジェクトがはじまって、4ヶ月で販売までこぎつけたわけですけど、サービス内容、打ち出し方、システム開発、オペレーション確立、法的要素の検証といった、全方位での取り組みを8名体制で進めていました。
ー8名ですか?
岡本:普通なら数十人いてもおかしくないプロジェクトだと思います。全員が当事者意識を持って取り組んでいるから、進行も速いし、担当領域で貢献したいという情熱も強かったのでしょうね。
ー岡本さん自身、当事者意識がより高まった契機はありましたか。
岡本:コーポレートチームのマネージャーである山下さんから「すべてを自分で説明できるくらいでないとやりきれないよ」とアドバイスされたのを覚えています。意識が大きく変わった転換点でした。それまで僕は山下さんに頼り切っていたのですが、とにかく当事者意識を強く持つ必要があるのだと気付きました。自分の専門領域以外にも積極的に踏み出すことが、ワンチームで動いていくための要素でもあり、NOT A HOTELのよさですよね。
「砂かぶり席」から、土俵で戦う力士へ
ー岡本さんはNOT A HOTELの特徴をどう捉えていますか。
岡本:NOT A HOTELは、とにかく議論が活発です。全員が意見を豪速球でぶつけ合って、異種格闘技戦をしているような環境じゃないかなと。それこそ濵渦さん(NOT A HOTEL CEO)が出す意見に収斂していくわけでもなく、全員が「NOT A HOTELをより良いプロダクトにするため」に知恵を振り絞る。入社当時の僕は、相撲で言う「砂かぶり席」に居る気分でした(笑)。
ー「砂かぶり席」から議論という名の土俵を眺めていたと。
岡本:その光景を面白いと思う一方で、自分もその土俵に立ちたいと考えるようになっていたタイミングで、先ほど触れた山下さんからのアドバイスを受けたんです。議論に参加すると、さまざまな視点からサービスを捉えられるようになり、前に比べて提案の質が上がったように感じます。特にお客さまの目に触れる部分は、自分の一挙手一投足が直接、ブランドに影響を与えているんだという認識を強く持つようになりましたね。
ーでは最後に、2024年の“超えていきたい常識”を教えてください。
岡本:“Web3の常識を超えていく”ですね。ブロックチェーンが好きという自分の好奇心を活かして、NOT A HOTELのWeb3領域を担うことに注力したいと考えています。難しい技術をどうやって簡単に届けるかが、今後の大きな課題です。「次のNOT A HOTELは何をするか」という周囲の期待を超えてきているからこそ、次も必ず超えなければと思っています!
STAFFTEXT:Kento HasegawaEDIT/PHOTO:Ryo Saimaru